現在でも粘土瓦が多く建材として使われている日本建築の屋根は、本瓦など一定の形をした瓦が主流ですが、瓦のデザイン・用途・焼成法・色・等級・産地など・・・分類すると様々あり、1000を越えるほどの種類があると言われています。
今回は、一般に用いられる標準の形に対し、特殊な場所に使用される役物瓦についてご紹介したいと思います。
こんにちは!古民家暮らしナビゲーターのイサタケです。当ブログにお越し頂き、ありがとうございます!はじめてお越しの方は、はじめての方へをお読み下さい。
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古民家の屋根:役物瓦の一種である巴蓋(ともえぶた)とは?
棟と棟が交差する場所に、雨仕舞(あめじまい)の瓦として用いられている巴蓋(ともえぶた)は、役物瓦の一種で、元々は半球形の瓦でした。
雨水の浸入や強風で先端部分の瓦が飛ばされないよう防ぐ役割 がありましたが、次第に装飾としても発展してきました。鬼瓦のように屋根の上で魔除けとしての大切な役割も与えられるようになったのです。 >>>>鬼瓦についての記事はこちら
「獅子」・「鳩」・「鯉」・「立浪」・「七福神」などの巴蓋が好まれて使われるようになりました。日本建築の芸術性の高さには、本当に驚きです。巴蓋の種類はこちらのサイトが参考になります。
古民家の屋根:我が家の役物瓦(巴蓋)鯉のご紹介
犬伏武彦著 【民家ロマンチック街道―伊予路】引用
我が家の漆喰塗(しっくいぬり)土塀(どべい)の出隅(ですみ)にある鯉の巴蓋は、表情は意外にもひょうきんでかわいいです!今にも空に向かって、飛び跳ねようとしています。鯉が瓦に用いられているのは、水に住む生き物ということで、火を遠ざけようとする思いがあるのでしょうか。
「竜門の滝登り」の故事にもあるように、
中国の黄河上流にある「竜門の滝」と呼ばれる急流を登りきれた鯉は、化して竜になるという伝説があり、立身出世の象徴です。縁起のよい魚として重用されたのでしょう。
古民家の屋根:我が家の役物瓦(巴蓋)桃のご紹介
対(つい)として、鯉の一辺の端には、桃の巴蓋もあります。桃は、魔除の果物として、中国では魔物を退散させるといういわれがあり、重用されています。
丸々として水分を大量に含む桃は、昔から不老長寿の果物とされ、霊力を持つ果実とされています。鯉と桃が対になっているのは、何か理由があるのでしょうか?土塀の上のコーナーで対になって配置されています。
我が家の瓦を見ても、前回の記事で鬼瓦のように、装飾の種類が色々あり、とても興味深いです。インスタグラムやツイッターで瓦の写真を投稿している瓦らぶと呼ばれる愛好家の人達も多いと聞きます。世界に誇れる日本の芸術性高い建築文化を後世に遺す価値は十分にあります。
こちらの土塀もかなり劣化してしまい、壁が剥がれています。見えないところは、補修も後回しになってしまいますね。
家の屋根が傷んで、雨漏りがご心配な場合は、深刻な影響がありますので、早め早めの対処が必要です。リフォームや修繕などのご相談や見積もりは無料ですので、お気軽にこちらにご相談下さい。今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
古民家の屋根:建築ワード説明
●雨仕舞(あめじまい)
建築物などの内部に雨水が入らないようにすること。
●漆喰塗(しっくいぬり)
日本特有の塗壁材。消石灰に砂,海藻のりやすさを混合して水で練ったもので、壁や天井の仕上げに使用する。
●土塀(どべい)
土で造った塀のこと。
●出隅(ですみ)
壁・板など、二つの平面が出合った所の外側の角のこと。
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