コロナ禍になる以前、インバウンドの来日数の増加から、伝統的な日本文化が見直されるようになりました。特に、古民家は、長い年月風雪に耐え、失ってしまったら2度と同じような建物は建てられないということで、若い年代から中高年まで幅広い年代層に人気となっています。
古民家に移住したい!古民家でカフェしたい!古民家で起業したい・・・など古民家に興味あるけれど、誰に聞いたらいいのか分からないし、悩みや疑問もたくさんあり、困っている人も多いと思います。
こんにちは!古民家暮らしナビゲーターのイサタケです。当ブログにお越し頂き、ありがとうございます!はじめてお越しの方は、はじめての方へをお読み下さい。
本来、古民家は築年数が100年以上経ている伝統構法で建造された建物のことをいいます。先祖代々人が住み続けている古民家はまだ大丈夫ですが、空き家状態が長い建物は傷みが激しく、修復工事が必要となります。
市場に出てくる古民家は、空き家状態になっている物件が多く、そのまま暮らすには、現代人にとって不便なところもあり、暮らしが成り立たない恐れもあります。古民家に関わる建築の種類と特徴など、古民家建築についてご紹介したいと思います。将来古民家に住んでみたい方の参考になれば幸いです。
見出しこちらです。
古民家建築の種類と特徴:現地再生
先祖代々から受け継いだ古民家が老朽化したり、住み辛くなった場合に、改修して再生する方法です。場所を移動せずに基礎を中心に、間取りの変更、段差解消、通気、採光などリノベーションも含めて、デメリットをメリットに変える作業が現地再生と呼ばれる手法です。
当時の雰囲気を保ったまま、傷んだところを改修する古民家建築で最も標準的な手法で、土地ごと古民家を購入した人や、既に居住している人が修復を行う場合をいいます。
古民家建築の種類と特徴:移築再生
不要となったり、空家になった古民家を譲り受け、解体した材料を新たな土地に移動し再生する方法です。構造体である梁や柱の傷みのあるものを除き、使える部材を選定することが重要なポイントと言えます。
古民家を守るためという理由もあるかとは思いますが、どちらかというと、古民家の持つ魅力や雰囲気を活かした家づくりをしたい、他とは差別化したいという場合に用いる方法です。現地再生に比べて、費用も多く、高額となっても、メリットを得たい場合に用います。
古民家建築の種類と特徴:部分再生・古材利用
古民家を解体し、その柱や梁などの部材や建具などの一部を新築の建物に組み入れ、再生する方法です。木造以外の建築でも、インテリアの一部として使われることもあり、店舗や飲食店など雰囲気を重視する場合に用いられる場合が多いです。
古民家で用いていた古材は人気があるので、古材バンクなどが買取り、商品として販売しています。
古民家建築の種類と特徴:再架構
何軒分かの古民家の使える部材を集めて、一軒の家にする再架構という手法もあります。上記の古材利用と似ています。新築に古民家の梁などを使って、重厚な雰囲気を演出したり、新しいテイストを加える場合に用います。
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以上、 いずれも、古民家が醸し出す独特の雰囲気が魅力的なので、現代のライフスタイルに合うようデザイン・設計・再生されることは、日本の伝統資源の活用として、大変喜ばしいことです。
なお、この場合、建物だけでなく、耐震的な不安要素である基礎部分を含めて、現在の耐震基準に合致するよう修復工事する必要があります。
古民家再生の場合は、大規模な工事になるため、家としての機能を改善し、古民家のデメリット(段差が多い・寒い・暗い・不便・怖いなど)が解消される一方で、コスト面では新築以上の費用がかかる場合もあります。
古民家建築の種類と特徴:築200年超我が家の場合
古民家の魅力のひとつに茅葺きの屋根があります。大きく張り出した軒は、夏の日差しを遮り、冬は建物の奥まで日射があたり、雨風から外壁を守ります。
茅葺きの葺き替えは、現在では材料も職人も激減しており、費用も全体の葺き替えで数千万円かかると言われているので、屋根をガルバリウム鋼板や瓦に替えるのが一般的です。
記事トップの写真とすぐ上の写真は、同じ我が家の正面から撮影されたものですが、屋根が変わるだけで随分と違うように見えますね。
我が家は、外装は屋根しか補修しておらず、母屋の南側や離れは、昔のままの状態です。一方、下屋部分の屋内の生活スペースは住みやすく現代風にリノベーションしています。手法でいえば、現地再生にあたります。下記の画像をご覧ください。
このようにずっと住み継いでいくと、少しずつでも手入れして維持管理されているだけでも、劣化を防げるだけでなく、古民家の魅力と現代設備の利便性の良さのいいとこどりをすることができ、一層家に愛着を持つことができます。
現在、個人の家で茅葺き屋根を維持していくことは困難です。文化財指定でも受けて補助金をもらうという方法もありますが、住みづらくなることは言うまでもありません。
古民家に使われている古材には、ケヤキ・ヒノキ・サクラ・マツなど多様な樹木があります。囲炉裏の煙で、長年いぶされた古材は表面が味わい深い色になっており、防虫効果もあります。
本物の良質な木材がふんだんに使われているのが、古民家の魅力です。木材の強度は200年~300年は変化しないといわれており、古民家は最近の住宅とは比較にならないほど頑丈です。
現在、「住む人がいない」「住み辛い」などの理由で古民家がどんどん処分されています。私たちの住んでいる地域でも、子供が都会に出たまま戻らず、高齢の両親が亡くなった後は空き家として放置されるケースが多く、たくさんの古民家が失われている状況にあります。
古民家を安易に廃棄するのではなく、魅力を再確認しリノベーションするなど再度活用していくことが、持続可能社会に配慮することに繋がると願っています。
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